AI(人工知能)は、既にさまざまな分野で活用されています。過去には考えられなかったような機能の数々が、事業や日常をサポートしているのです。
本記事では、AIの概要や生活のなかでよく見られる活用方法、および業界ごとに分類したAIの活用事例について紹介します。AIを自社に取り入れようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
【目次】
・AIとは
・日常生活におけるAIの活用事例
- AIの自動運転
- 音声翻訳
- AIカメラを使ったレジ
・業界別AI活用事例①:物流
- 商品の検品/仕分け
- 倉庫管理システム
- 配送ルート算出
- ドライブレコーダー
・業界別AI活用事例②:金融
- チャットボット
- カード不正利用検知
- OCR
- 融資審査
・業界別AI活用事例③:不動産
- 不動産の管理
- 物件の査定
- 値下げの自動通知
・業界別AI活用事例④:農業
- 作物の画像選別
- AI機械制御による農薬散布
・業界別AI活用事例⑤:医療・福祉
- 介護ロボット
- 患部の画像解析
・業界別AI活用事例⑥:小売り
- 売上予測や需要予測
- 顧客のエンゲージメントの可視化
・AIが抱えている課題
- フレキシブルな対応が難しい
- 正しいデータが必要
- 道徳的に動けない
・まとめ
AIとは
AIとは、一般的に「人工知能技術」もしくはそれを研究することを意味します。人工的に人間の脳と同じレベルのプログラムを作るのが目的となり、複雑な作業も機械だけに任せられるようになる未来が想定されているのです。
AIについての定義は幅広く、「単純な統計処理を行うだけのもの」から、「ディープラーニング(深層学習)のように複雑な処理を行うもの」まで含まれます。そんなAIは既に私たちの生活のあらゆる場面で用いられ、実際にさまざまな分析や処理業務を担っています。
日常生活におけるAIの活用事例
日常生活において、既にAIはさまざまな場面で活用されています。以下を参考に、具体的な活用事例を確認してみましょう。
AIの自動運転
AIの機械制御技術を用いることで、人の手を使わずに車を動かす自動運転システムが実現できています。海外では既に多くの実証実験が行われ、本格的な自動運転車の販売も開始されているのです。
国内の大手自動車メーカーでもAIの導入が進み、一定の条件下においては自動運転の利用が可能となっています。
音声翻訳
AIは人間の発する声を聞き取り、海外の言語を日本語に翻訳する音声翻訳の分野でも活用されています。
まだ完璧な形で日本語に翻訳することは実現できていませんが、短文程度なら言葉の意味をAI側が理解できるほど技術革新が進んでいるのが特徴です。
今後さらに音声のデータベースが増えれば、AIの翻訳精度が向上して海外出張などが容易に行えるようになる可能性もあるでしょう。
AIカメラを使ったレジ
AIを導入したカメラとレジを活用した、「無人のコンビニエンスストア」が近年話題となっています。
商品を置くだけでAIがそれぞれの値段を判断し、金額が自動入力されるサービスが定着しつつあるのです。
レジ業務のスピード改善などの業務効率化に加えて、人件費のコストカットにつながる点が注目されています。
業界別AI活用事例①:物流
商品をさまざまな場所に運ぶ「物流業界」では、AIを使った多くの事例が確認できます。
商品の検品/仕分け
物流の現場では、ベルトコンベアで流れてくる商品の検品や仕分け作業をAIが行っています。配送先ごとに分類したり、地域ごとに必要な数を調整して仕分けたりといったことが可能です。
AIによる正確な選別によって不良品が出荷されるリスクも減らせるため、配送業務全体の効率化につながっています。
倉庫管理システム
WMSと呼ばれる在庫・入出荷・返品管理を行う「倉庫管理システム」にも、現在はAIの機能が導入されています。入出荷までの効率を上げるために導線を変更したり、正確な在庫数を自動で更新したりといったことが、AIの役割です。
従来必要とされていた倉庫管理業務におけるノウハウが重要視されなくなり、結果的に人件費のコストカットにつながっています。
配送ルート算出
AIには効率の良いルートを策定してドライバーの業務負担を減らしたり、より迅速な出荷作業を支援したりする機能もあります。積載量次第で必要とされる時間を事前に把握し、最適な休憩時間を設定するなど、職場環境の改善にも効果が見込めるでしょう。
配送ルートをマニュアル化して伝達していく必要もなくなるため、新規で雇ったドライバーを即戦力で使いやすくなる点も物流業界のメリットです。
ドライブレコーダー
AIを用いることで、ドライブレコーダーにリアルタイムの情報を的確に提供できるようになります。例えば、事故の発生を即座に認知して安全性を確保したり、混雑が予想される道路を回避するために急遽別のルートをドライバーに提案したりといったことが可能です。
業界別AI活用事例②:金融
金融業界においても、AIの利便性は既に広まっています。以下の事例を参考に、AIの活用方法をチェックしてみましょう。
チャットボット
ユーザーとテキストによる自動会話を実現するチャットボットは、金融機関においてコールセンターの業務負担を減らすために用いられています。過去にはIBMが開発したAI「ワトソン」が日本のメガバンクに活用され、大きな話題となりました。
対応できるユーザーからの言語数が過去のものと比較して格段に増えていることから、現在では人に代わって自然な顧客対応が可能なレベルにまで成長しています。
カード不正利用検知
AIはその高度な情報収集能力を活用して、クレジットカードの不正利用検知にも役立っています。違和感のあるカードの利用履歴、マネーロンダリングの可能性がある取引などを検知し、素早く担当者に伝達するシステムが実用化されているのです。
近年は検知理由を把握できるAIも存在しているため、巧妙な手口の詐欺に対しても早期発見が期待できます。
OCR
金融業界のペーパーレス化にも、AIのシステムを導入した「OCR」が利用されています。OCRとは紙の書類をデータで読み込むシステムとして使われていますが、近年AIを活用することでさらに視認性が高い状態で保存が可能となりました。
ペーパーレス化の業務削減やその後の生産性向上につながる点から、金融業界でも幅広く活用されています。
融資審査
地方銀行がAIを利用して、融資審査を実施したことも事例として話題になりました。
AIを活用することによって収益性の向上が見込まれ、将来的には不動産投資や賃貸経営にも利用されると予測されています。
業界別AI活用事例③:不動産
不動産業界においても、AIのシステムは欠かせないものになりつつあります。
以下の事例を参考に、不動産業界におけるAIの活用事例を見ていきましょう。
不動産の管理
AIシステムを活用することで、不動産業務に多い煩雑な書類作成を効率化できます。あらかじめ設定したシステムに入力するだけで予測データを取得できるため、簡単に書類が作成可能です。
保存した書類の抽出もスムーズになるため、時間をかけずに不動産管理が行えます。
物件の査定
AIは過去のデータや地域相場などのデータを参考に、物件の価値を自動で算出可能です。これまで査定にかけていた時間を大幅に削減できるため、業務効率を高められます。
値下げの自動通知
AIは、膨大な量の物件データも簡単に管理可能です。
そのため、空室物件を適宜フィルタリングしたり、値下げが発生した物件をピックアックしたりといった機能が追加できます。
業界別AI活用事例④:農業
一見デジタルとは縁遠く思われる農業分野でも、近年AIを活用した事例が増えています。
作物の画像選別
AIによる画像識別機能を使うことで、収穫した作物のなかから基準を満たしていないものを簡単に見分けられます。人間の手で大量の作物を確認する手間が省けるため、コストカットにつながるでしょう。
静岡のきゅうり農家ではAIによる画像選別を実施したことで、出荷作業の効率が1.4倍ほどアップしたという事例もあります。
AI機械制御による農薬散布
AIの特徴である機械制御機能を使うことで、農薬を正しく利用できるメリットもあります。例えば「XAIRCRAFT JAPAN」が提供する「P20」は、害虫の発見と農薬散布を自動で行います。
必要な部分にだけ農薬散布を行えるため、そのほかの作物を守ると同時にコストカットが実現可能です。
業界別AI活用事例⑤:医療・福祉
医療や福祉の現場では、最新鋭のAI技術が多数利用されています。
介護ロボット
AIを導入した介護ロボットの登場によって、入居者対応や転倒認知などの業務が効率化されています。ロボットはさまざまなアプリと連携できるため、音声による指示を与えるなどその職場に必要な機能を追加できるのも魅力です。
患部の画像解析
AIによる画像解析は、大まかな患部の把握などにも応用できます。手術時間を短縮できるため患者の負担を削減すると同時に、医師の作業時間を短縮できるというメリットがあるでしょう。
専門家である医師でさえ把握が難しい病気も、AIの画像解析によって早期発見が可能なケースが増えると予想されます。
業界別AI活用事例⑥:小売り
人間同士の売買を行う小売業界でも、AIのシステムは以下のように役立っています。
売上予測や需要予測
AIは膨大な情報を蓄積したビックデータから、独自の関係性を見出すことが可能です。小売業においてもPOSデータを分析して、天候、競合店舗、キャンペーン、価格の変動などを参考に売上予測が行えます。
そのほか顧客の需要予測や、過剰在庫の削減、発注業務の最適化などもサポートできます。
顧客のエンゲージメントの可視化
AIの導入は、顧客エンゲージメントの可視化にもつながります。
例えば、店舗内における動線の分析、セキュリティの改善、滞在時間の数値化、無人店舗における顔認証などに用いられるでしょう。
動線分析などは、これまで実際に従業員が店舗に滞在して実施していたため、AIによる効率化が既に実現しています。
AIが抱えている課題
AIは多くの事例がある便利なシステムですが、そこにはまだいくつかの課題もあります。
フレキシブルな対応が難しい
現在のAIは、基本的に設計された処理以外の行動は取れません。
プログラミング次第で性能や能力が決まってしまうため、設計段階で用途を明確に指定することが重要です。
正しいデータが必要
AIの機能を活かすには、正しいデータが必要です。
データそのものがなければ活用できないことはもちろん、ノイズの混じったデータでも正確な予測や分析はできない点に注意が必要となります。
道徳的に動けない
現在のAIは、人の心を読み解いて理解することができません。
そのため状況次第では、非道徳的な判断を下す恐れがある点も課題に挙げられます。
まとめ
AIは既に多くの業界で活用され、その利便性が広まっています。
今後もAIを活用した事業体制の確立や、新規事業の展開などは増加すると予想されるでしょう。
この機会にAIの活用事例を確認し、自社に導入した際にどのように役立てられるか検討してみてはいかがでしょうか。
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